夏のツーリングはいかがだっただろうか。秋は、夏にもまして自転車に乗るのに快適な季節。つまりそれだけいろいろなところを走ることになるでしょう。そこで、もう一度安全走行について考えてみるべく、今回は安全の失敗例、すなわち、事故の例を紹介します。事故を起こせば事故の恐ろしさはわかるかもしれませんが、事故を起こしてからでは遅いということもあります。事故について、その現実や、万一の事故の際の対応についても、考えてみよう。

[.実際の事故に学ぶ

 

●なかよしさいくるであった事故の例
 なかよしさいくるにも今まで、何度か事故があった。後閑さんの事故には多くの人が知る通りである。他にもいくつかお寄せいただいた事故の体験談を以下に掲載させていただこう。


 


事故紹介2

〜左巻き込みは怖いの巻〜

○時:1997年の年の瀬
○所:富ヶ谷の交差点
○人:荻野聡之

●事故の状況
 朝、いつものように寝坊した僕はロードに飛び乗り学校に向かった。2限は体育で遅刻はあまりしたくない。原宿の駅前を右折し、代々木公園へ。直線の平地を抜け、長い下りに入る。隣にはバンが併走している。信号が変わりそうだったので、一気に交差点を抜けようとしたそのとき、バンが左折してきた。

 まずい、と思ったので、急ブレーキする。バンの側面に衝突。これで一安心と思ったが、大間違い。車はそのまま、左折し続けた。巻き込みの力はものすごい。チャリもろとも倒されてしまった。うまく転べて一安心していたが、またまた大間違い。車の後輪が内輪差で自分の右足の上にのしかかってきた。やばいなぁ、折れちゃうよ、と思ったが、どうしょうもない。車の方はというと、そのまま走り去ろうとしている。しかし、交番の目の前であることに相手も気付いたらしく、止まる。ひき逃げはされずにすんだ。

 幸福なことに足は無傷、擦り傷もなかった。チャリは前輪がつぶれただけですんだ。

 


事故紹介3


○時:97年10月
○所:磐梯ゴールドライン
○人:高岡芳成

 

●事故の状況
 97年10月に会津磐梯方面で行われた合宿で、磐梯ゴールドラインから下っていた時だった。そこは道幅は広かったが、ヘアピンの混じった難易度の高い下りで、安全な下り方などろくに知らなかった僕は、ヘアピンでは不十分な減速で膨らみまくるわ、道の真ん中に寄りすぎてたまに来る車にクラクションを鳴らされまくるわ、クランクの内側を下げて下るわ、など、かなり危険な走りをしていた。

 そこで事故は起きた。下の図を見れば解るが、そこはヘアピンが連続したところで、例のごとく不十分な減速で膨らみまくっていた。そこで後ろから車の来る音がしたので、僕は恐怖のあまり道路の端に寄りすぎてしまった。そこにあった路肩は砂利道で深い溝もあり、その溝に見事に突っ込みバランスを崩して転倒してしまった。45km/hくらいで転倒したのだが、ヘルメットがあったお蔭で、軽い脳震盪と掠り傷だけで、大事には至らなかった。

 

●反省点
1、カーブ前では十分に減速し、安全なラインをとって下ること。

2、あまり道路の端に寄りすぎないこと。特に林道などでは、ガードレールがなく、舗装も悪い場所が多い。

3、下りではヘルメットをちゃんとかぶること。当然のことだがしっかり守ろう。命を守ってくれる大事なものです。実際この事故のあとヘルメットを見ると、左端が見事に裂けており、衝撃の大きさを物語っていた。この時ヘルメットをかぶっていなかったら命に関わる事故になっていたかもしれない。


事故紹介4


○時:98年6月 雨の日
○所:秩父
○人:大縄将史

  ●事故の状況
 例年6月には、特訓ランというケッコウ大事な行事がありますが、この年は雨が多く1年生が実戦不足とのこと。そこで、明るい話題ではありませんが、走る時の心がけについて書きます。

 今では信じがたいことに、4、5、6、月定サイにまじめに参加。6月定サイに間に合うように自転車を買って秩父まで曲がりなりにも走って行った。本格的な下りは秩父がはじめてだが、登りでバテタ分調子に乗って下りで頑張る。諸徳寺さんに、「よく僕について来るねえ」と言われる。

 この日3人の1年生が事故を起こすも、"ドジなやつ"くらいに思っていた。
 そして忘れもしない6月20何日か(忘れた)、特訓ラン初日、二度上峠(群馬県)までの1000mの登りを終えて、下り始めて60秒と立たない頃、待望の下りにスピードを乗せる。だが、"次に、さあ何を考えようか"というくらいぼうっとしていた。普段の僕のように。気付いた時には遅かった。半径は大きいが、回転角も大きい右カーブ(通行車極少)で、ワイヤ式のガードレールに突き刺さる。多分40km/h前後で。骨折には至らなかったが、なかなかの怪我を負った。

●検証
 原因として、怖いもの知らずだったということ、技術が未熟だったこと(ここでは右カーブの曲がり方)があります。技術面のことについては金籠会長をはじめ、多くの先輩方が書いて下さっているので前者について書きます。

 もちろん、事故の怖さというものはサークルに入る前から聞いているし、6月定サイでも目の辺りにしているので知ってるつもりでしたが、中には、自分がそういう目に遭わないとわからない者もいます。人間身にしみないとわからないということは多い。

 事故を起こした時、某先輩に、「こけてみて はじめてわかる 痛さかな」と、剥がれた爪に楔を打ち込むような一句を詠まれましたが、ごもっともです。(別に恨んでなんかいませんぜ、頭取。)

●対処法
 だったら事故を起こさないとわからんやないけ、となりますが、そうでもない。まずこの先何があるかわからないと認識すること、世に言う無知の知、というやつです。(このあと、馬鹿の力と続く?)なら自分は確かに無知なのはわかった、と開き直るだけでは進歩がありません。無知をひとつひとつ消していくのが経験です。

 たとえば、自分は対向右折車にとっては直進車の影になっていて見えないとか、歩道は安全かと思いきや、ファミレスからは車が出てくるとか。実はこれだけでも不十分なことがあります。知覚された無知とは何があるのかわからないが、こういうことがあるかもしれないという、せいぜい自分の頭の想像力の範囲を超えませんが、全く想像もできないようなことがあるかもしれません。

 論理的に言っても未知の知は不可能なのです。しかるに、神様というのは、悪戯っ子ですから、そういうところをずばりお突き遊ばれます。いきなりネコが飛び出すとか、上から物が落ちてくるとか、しかし何があるかわからんと思って(つまり無知を自覚して)少し気を付けていれば、多少はましな対応が取れるでしょう。

 ここまで来れば、このカーブで、或いはこの先の、ここからは見えないがこうなっているかもしれないカーブで、自分が事故を起こす映像すら想像することができます。(愉快ではないかもしれないが。)こうして"仮想事故体験"をすれば、傷を負わずして事故の怖さを知り、安全走行に努めようと思えるのではないでしょうか。

 あとは走っている時にトンネルや崖が崩れませんように、新幹線が脱線しませんように、大地震が起きませんように、と神様に祈るだけです。

-----自戒を込めて

事故紹介5


○時:97年6月
○所:水道橋交差点
○人:竹内恒

  ●事故の状況
 本郷からの帰り、普段より少しはやく夕方4時頃水道橋の交差点にさしかかったところで、僕は事故にあった。水道橋交差点は南北に春日通りが、東西に外堀通りが走っている片道3かける 車線の交差点で、北西側には東京ドームがあるというロケーション。僕は北側から来て右折しようとしていた。自転車はこういう広い道を右折するときは2段階右折(まず交差点の向こうにまっすぐ渡って右に向きを変えてその方向の信号が青になったら渡るって言うやつね。)というのをやらなくてはいけないことになっているので、僕もそのつもりで道路の左端を走っていた。

 ところがあと200メートルぐらいで、交差点と言うところで、信号はあいにくのに変わって、前には信号待ちの車が数台という状況。そこで僕は信号待ちの車の横をすり抜けて前に出ようとちょっとスピードを落としてそのまま進んでいった。車2台の横をすぎて3台目にさしかかったとき、なんと絶妙なタイミング!まさに目の前10センチと言うところで、車の後部ドアが開き僕はなすすべもなく自転車もろとも歩道にはじき飛ばされてしまった。一瞬何が起こったのか分からないでいると、ドアを開けたおばさんが寄ってきて、「大丈夫?」なんて聞いてくる。幸い体の方に怪我はなかったものの、高校時代から4年間乗っていた愛車はフォークが曲がって再起不能。全然大丈夫なんかじゃない!

 こういうときに相手をすべきなのはドアを開けたおばちゃんではなく、車を運転していた運転手。車との事故で大切なことの第一は直接事故を起こしたのが誰であれ、運転手と話をするのが正解と言うこと。なぜなら運転手は運転している車に関するすべての責任を負うから。これは法律にもかかれている。僕も運転手と話をした。

 車との事故で大切なことの二点目は「大丈夫です」、「すみません」なんて言わないこと。事故をしてすぐは興奮していて痛みもあまり感じないし、動転してしまってつい「大丈夫です。」やら「すみません」やら言いたくなるけれども絶対にそんなことを言ってはだめ。まず相手に責任があることをはっきりと言い、自分の被害を示し免許証を出してもらって相手の身分(住所、氏名、免許書番号など)を教えてもらうことが大切。その上でこっちの損害を補償すると言うことをはっきりと言ってもらわなくてはいけない。必要なら警察を呼んでもらってもいいだろう。自信を持ってはっきりと言えば相手も納得するはず、こういうときに免許を取っていると法律の知識も持てるしいいかもしれない。あとは警察か保険会社に任せればいい。僕の場合は相手に100%の過失があると言うことで、全額支給になった。

 保証してもらうのはいいけれど、事故を起こして最もつらいのはやはりそのあとしばらく自転車に乗れないこと。保険会社が保証するとなると補償金が下りるまでひと月以上はかかる。その間自転車に乗れないのは僕らみたいな自転車キチガイにはほんとにつらい。やはり事故は起こさない方がいい。この事故も横をすり抜けようと思わなければ起こらなかったはず。

 つらい思いをするのは結局自分だから・・・

 


 今回は具体的な事故について紹介しました。読むのもうんざりでしょうが、これを全部打った僕はもっとうんざりです。しかし、事故紹介を読んだからといって事故は減るものではありません。自分の身は自分で守るという自覚を持つようにしましょう。 まずはヘルメットをかぶることから。恐いのは車でも不運でもなく、「自分だけは事故らないからだいじょーぶ」、という油断なのです。これは"だいじょーぶ教"にあらず…ですよね。

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